プロジェクトで持ち込んだVIMSという道路の状態を調査する機械のトレーニングの最終日。研修生だけで調査に行きその結果を発表する日だ。
最終日というのに研修生の参加は半分。ひとりは無断。ひとりは海外出張。ひとりは親類の葬式。既にいつものことなので慣れてしまった感はあるが、残念。どうして最後までやらないのか、という怒りに近い思いも持ちつつ、反省もしつつ最後の発表会に参加する。
発表は短期研修の結果のまとめであるが、発表の最後にジャネットが自分の上司に向かって熱弁を振るった。
「研修はありがたい。でも、実際にやっていかなくては意味がない」
その通りだ、と思った。それと同時に、正直思いがけなく驚き、真剣な言葉に気持ちを新たにした。
彼女は最初に始めた測量研修から参加しているが、最初のうちは要領が悪い方だった。ただ、研修には真面目に参加し、ほとんどすべてのプログラムに参加し、できてもできなくても経験を積んできた。 そういう経験が少しでも自信につながってきたものだと感じる瞬間だった。
このプロジェクトを通じて技術の移転とはなんだろうと何度も考えてきた。鉄筋の曲げ方、コンクリートの練り方、といた技術は比較的簡単に伝えられる。でも、本当に伝えなくてはならないのはそれができるとどうなるのか。どうよくなるのか。という点なのだろう。一方、多くの研修生は最初のノウハウに終始してしまう。
今日の発言が本当だったら大きな一歩を踏み出したのだと思い、少し感涙した。